名前
須佐之男命(すさのおのみこと)
神格・人物像
須佐之男命は、嵐・荒ぶる風・海と深く結びついた神であり、 強大でありながら予測不能な性格を持つ存在として描かれる。 天照大神(あまてらすおおみかみ)、 月読命(つくよみのみこと)の兄弟神として、 『古事記』『日本書紀』における中心的な神の一柱である。
神話上の役割
須佐之男命は荒々しい力を体現する神である。 それは破壊をもたらす一方で、穢れを祓い、 世界を再生させる力でもある。 神話では、乱行・追放・贖罪という過程を経て、 最終的に英雄的な行為を成し遂げる存在として描かれ、 非常に人間的な成長の物語を持つ神といえる。
代表的な神話
最も有名なのが、出雲の地における
八岐大蛇(やまたのおろち)退治の神話である。
須佐之男命は、娘たちを次々と失った老夫婦に出会い、
最後に残された娘である
櫛名田比売(くしなだひめ)を救うことを決意する。
強い酒を用いた策で大蛇を酔わせて討ち取り、
その尾からは後に三種の神器とされる
草薙剣(くさなぎのつるぎ)が現れる。
この出来事は、須佐之男命が荒ぶる神から
守護的な英雄へと転じる象徴的な場面である。
信仰
須佐之男命は全国各地の神社で祀られ、 主に次のような祈願が行われる。
災厄除け(疫病・天災・悪運の防止)、
祓いと再生、
困難に立ち向かうための力と勇気。
特に出雲地方ではその信仰が根強く、 疫病除けや地域守護の神としての側面が強調される。 荒神でありながら「鎮める神」として信仰されてきた点が、 須佐之男命の大きな特徴である。
象徴性
須佐之男命は嵐を象徴する神であると同時に、 混乱の後に訪れる秩序と再生を象徴する存在でもある。 巨大な脅威に立ち向かい、世界を守る 「守護的戦士」の archetype を体現し、 風・海・雷といった自然の力、 そして草薙剣に象徴されるように、 力が正しく用いられることで 正統性と保護へと転じることを示している。