名称

  • 月読命(つくよみのみこと)

神格・人物像

月読命は、神道神話における月の神です。 伊邪那岐命から生まれた神であり、 天照大神須佐之男命と並ぶ兄弟神の一柱とされています。 太陽神である天照大神や、 荒ぶる性格の須佐之男命と比べると、 月読命は比較的静かで寡黙な存在として描かれます。

神話上の役割

月読命は夜と周期を司る神です。 時の流れ、昼夜の交替、均衡と節度を象徴します。 天照大神が昼と可視的秩序を体現するのに対し、 月読命は夜、静けさ、内省、抑制といった 「見えにくい秩序」を担う存在といえます。

代表的な神話

月読命の代表的な逸話として知られるのが、 食物神である保食神(うけもちのかみ)との物語です。 饗応を受けた月読命は、 保食神が口や身体から食物を生み出す様子を 穢れた行為と見なし、彼女を斬ってしまいます。

この出来事を知った天照大神は激しく怒り、 月読命と永遠に別れることを決めます。 これにより、太陽と月は同時に空に現れなくなり、 昼と夜が分かれたと語られています。

信仰

月読命を祀る神社は多くありませんが、 次のような事柄に関して信仰されることがあります。

  • 時間の流れや周期の調和

  • 心の静けさ、感情の制御、冷静な判断

  • 夜や休息、内面的な整え

  • 節度や距離を保つことによる浄化

象徴性

月読命は、 距離によって保たれる秩序を象徴します。 太陽の光が直接的であるのに対し、 月の光は反射された穏やかなものです。 彼は、分離・抑制・境界を尊重することで 世界の均衡を保つ存在といえます。 月読命は、静かで目立たないながらも、 欠かすことのできない「夜の秩序」を体現する神なのです。