名称
- 木花咲耶姫(このはなさくやひめ)
神格・人物像
木花咲耶姫は、花や生命のはかなさ、 そして自然の循環と深く結びついた重要な女神です。 その名は「咲く」という言葉が示すとおり、 華やかに咲き誇りながらも儚い花の姿を象徴しています。 また、山とくに火山との関わりも強く、 繊細な花の美しさと、 大地の持つ強大な力という 二面性を併せ持つ神とされています。
神話上の役割
木花咲耶姫は、 生まれ、栄え、やがて消えていく生命そのものを体現すると同時に、 創造と破壊の両方を持つ自然の力を象徴します。 神話の中では、 豊穣、血統の継続、そして純潔や正統性の証明といった 主題と結びつき、 誕生と正当性の両方を語る存在として描かれています。
代表的な神話
木花咲耶姫は、 瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の妃として 最もよく知られています。 妊娠中に子の父性を疑われた彼女は、 自らの潔白を証明するために産屋に籠もり、 その小屋に火を放ちます。 「もし子が瓊瓊杵尊の子でなければ、 自分は火に焼かれて死ぬ」と誓い、 その炎の中で無事に出産を成し遂げました。 これにより、子どもたちの正統性が証明されます。
この神話は、 火による浄化、出産の力、 そして火山的なイメージと強く結びつき、 彼女が山や火山の神とされる理由の一つとなっています。
信仰
木花咲耶姫は、次のような分野と関係する神社で信仰されています。
山岳信仰(とくに火山)
女性の守護、妊娠・出産の安全
家庭の安泰と繁栄
地域によっては自然災害からの守護
とくに富士山信仰においては、 山を守る女神として重要な位置を占めています。
象徴性
木花咲耶姫は、 花(花)と無常を象徴します。 すなわち、美しさは永遠ではなく、 時と自然の巡りを敬うべきだという教えです。 同時に、浄化の火と大地の力という象徴も併せ持ち、 危険のただ中からこそ生命が生まれることを示します。 彼女は、 優雅さと畏怖の両方を備えた自然の姿、 そして「見かけの弱さの奥に、強大な力が潜んでいる」 という強いメッセージを体現する神なのです。